成長戦略を骨抜きにしたもの

日経新聞6/12朝刊より 

 競争力会議「成長戦略」骨抜きに 楽天・三木谷社長に聞く 薬ネット販売、例外残る TPP交渉参加は成果

 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が12日に最後の会議を開く。民間議員として参加した三木谷浩史楽天社長が求めた規制緩和の一部はアベノミクスの第3の矢である「成長戦略」に盛り込まれたが、多くは官僚の反撃で「骨抜きにされた」という。三木谷氏に聞いた。

 ――産業競争力会議に点数を付けると。

 「総じて言えば75点。最大の成果は環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を側面支援したこと。規制緩和も道筋は示せた。あとは安倍首相、菅義偉官房長官らの実行力にかかっている。既得権益を守る人々に阻まれて総論賛成、各論反対になったのでは0点だ」

 ――医薬品のインターネット販売を巡って議論が紛糾し、辞意を漏らしたと伝わっている。

 「私が主張したのは『対面・書面原則の撤廃』だ。薬の販売、住民票の取得や銀行口座の開設、教育などは対面・書面による手続きが必須とされている。ネットを対面に代わる手段と認めれば、お年寄りは薬局まで行かなくてもよくなり、学生は遠隔教育を単位と認めてもらえる」

 「社会全体で莫大なコストを削減でき、利用者の利便性が上がる。首相には『これが通らないのなら、私が産業競争力会議にいる意味はありません』と申し上げた」

 ――首相は「薬のネット販売を全面解禁する」との談話を出した。主張が認められたのでは。

 「首相にはご理解いただいたと思うが、最終的には25品目が例外扱いになった。『医薬品のネット販売を省令で規制する根拠はない』という最高裁判決に反する。これでは規制強化だ」

 ――成長戦略には英語教育推進も入った。

 「それも骨抜きにされている。私は国家公務員試験や大学入試に英語能力テスト『TOEFL』を採用すべきだと主張した。翻訳能力から会話能力に英語教育の重点を移すにはTOEFLが最適だ。しかし最終案は『TOEFL等の採用』になっている。『等』が入ったことで、在来型の英語テストが生き残り、本来の狙いが曖昧になった」

 ――全く通らなかった主張もある。

 「インターネットをドイツの高速道路のように無料で利用できるようにする『インターネット・アウトバーン構想』はそっくり抜け落ちた」

 原子力発電所の再稼働に対して慎重論を唱えた議員は私だけではなかった。日本の電気料金が高いのは地域独占が続いているからだ。両論併記をお願いしたが結論は再稼働推進になっていた」

 「様々な議論をしたが、結局、官僚のシナリオ通りになった。安倍首相には今後も期待するが、今回は変革を拒む抵抗勢力の頑強さを痛感した」
(聞き手は編集委員 大西康之)


アベちゃん政権が官僚の言うことを素直に聞く内閣だと言うことがこれでよくわかります。破壊と創造という言葉がありますがまずは破壊から始めないと世の中は変わりません。

ただ、破壊には混乱が伴いますし多くの人から一時的にせよ恨まれることになります。したがって破壊する人と創造する人とは別々でないと改革は成し遂げられないでしょう。

アベちゃんにはまずは破壊の役割が期待される訳ですが、今までの言動を見ている限りでは、そのような信念もなさそうですし既存の秩序をブチ壊すだけの迫力も感じません。

世論調査ではアベ内閣の支持率は相変わらず70%近くで、支持する理由は他に適当な人がいない、に次いで、政策に期待が持てる、でした。

私の見方はその全く逆で、楽天の三木谷さんが言う通り官僚とは二人三脚で、政策には全く期待の持てない内閣じゃないかと思います。