中原圭介氏のブログから

ご存知のとおり、迷走を続けてきた米議会の財政協議が前進し、民主・共和両党は今後2年間の予算の大枠で合意しました。この合意により、政府機関が再び閉鎖される事態は回避できる形となりましたが、来年2月には債務上限引き上げの期限を控えています。この問題が2014年の米国が抱える最大のリスクになると思われます。

気になるのは、11月頃までは共和党に世論の風当たりが厳しかったのですが、12月に入ってからはオバマ政権へのさらなる逆風が吹き始めているということです。CNNの最新(12月)の世論調査によると、オバマ政権の支持率は過去最低の41%、不支持率は過去最高の56%を記録しました。政権を支えてきたリベラル層からも批判が強まってきているのです。

他の世論調査でも支持率が過去最低を記録するという結果が出ており、この結果を受けて共和党が再び強硬姿勢に転じる可能性が高まってきています。共和党は、債務上限を引き上げる代わりに社会保障制度の抜本改革などを通じた財政赤字削減策を強く求めていく方針を固めたようであり、与野党対立が再び激化する情勢になりつつあります。

にもかかわらず、オバマ大統領は債務上限引き上げの問題について、未だに共和党に無条件で引き上げるよう求めています。1週間前にも改めて「議会と交渉をするつもりはない」と明言したばかりです。こうなると、米国経済ひいては世界経済の来年の最大のリスクのひとつが、来年2月に迎える債務上限引き上げ問題(=政治的リスク)になるのは避けられそうもありません。

2014年の世界経済を考えるときに、もうひとつのリスクとなるのが欧州の問題です。2008年から2012年まで、欧州は金融危機ギリシャ危機、南欧債務危機と毎年のように危機に見舞われてきましたが、2013年は何事もなく無難に乗り切ったかのように見えます。しかし、景気の低迷は相変わらず続いており、ユーロ圏およびEUの失業率は依然として過去最高の水準で推移しています。

そういった状況にあるのに、為替市場では不健全なユーロ高が進んでいます。景気が低迷し続けているのにユーロ高が進んでいるのは、欧州の銀行が来年1月からのストレステストを控え、海外資産を処分してユーロを買い戻しているからです。欧州の銀行が不良債権処理を進めているために、米国や日本の株式・債券で運用していた資金を本国へ戻そうとユーロを買っているのです。現在のユーロ高は域外への輸出競争力を削いで、遅かれ早かれユーロ圏の経済に跳ね返ってくるでしょう。

さらに来年の欧州には、政治的な分裂が深刻化するリスクもあります。2014年の各国の選挙では、反EUを掲げる政党が議席を伸ばす勢いにあるからです。英国の独立党、仏極右政党の国民戦線ギリシャ黄金の夜明けなど、中には既存の政党を抑えて第1位の得票を獲得する政党も出てくるかもしれません。欧州の政治的な分裂が進めば、ストレステストで判明する不良債権の処理方法すら具体的に決めることができなくなってしまいます。

もちろん、日本経済にもリスクはあります。それは、消費税引き上げ後に消費が伸び悩むことです。たとえ景気対策として財政支出を5兆円程度増やしたとしても、駆け込み需要の反動は避けられないでしょう。すでに住宅市場ではその影響が出始めていますが、来年4月以降の経済指標は政府が想定しているよりも悪くなるだろうと予想しております。

先進国を見渡した時に、米国は政治リスク、欧州は政治と経済の両方のリスク、日本は経済のリスクと、それぞれにリスクのあり方が異なりますが、いずれにしてもそのすべてが世界経済あるいは国際金融のリスクに直結していきます。これらのリスクを如何にして消化していくのかが、2014年の経済や金融市場を見る上で大きなポイントになるのではないでしょうか。


一般大衆に人気のあるエコノミストの中で一番マシなことをいつも言うのは彼だと思う。あとはみずほ総研の上野泰也氏。この二人以外のエコノミストの意見は邪魔だから見たり聞いたりする必要はない。百害あって一利なし。これが私の結論である。

ただ、この二人の予想が当たるかどうか。それは定かではない。私は当たるから支持しているわけではない。結論に至るまでの考え方その過程が面白いから。

ほとんどのエコノミストはまず結論ありきで推理の過程を楽しませてくれる人はなかなかいない。しかしながら結論ありきのつまらない本に限って世の中ではベストセラーになるからこれまた面白い。